5月2023 日本語学習の入り口 スタッフ 木津いつみ

ポコ・ ア・ ポコ

No.260

2023年5月発行

川口自主夜間中学

スタッフ 木津いつみ

 

初めて日本語の読み書きを勉 強する外国人の方にとって、「ひらがな」をきちんと習 得することは、

とても大切です。たまに、「国でひらがなは勉 強してきたので大丈夫です。」とおっしゃる学習者さ

んもおられますが、教える側はそれを鵜呑みにせず、注意深く指導した方が良いと 私 は思っています。

つまりこういう事です。五十音図にある、約50種類の文字の字形と発音を何とか覚えたとしても、そこ

から更に、濁音(ガ 行 やザ 行 )半濁音(パ 行 )、小さい「っ」(さかとさっか)、小さい「ゃゅょ」

(びょういんとびよういん)、伸ばす音(おじさんとおじいさん)など、学 習 者にとって悩ましい発音と

表記がたくさんあります。これらをマスターしないことには「ひらがなは大丈夫です。」とは言えないの

ですが、実際にこれらを正確に読んだり書いたり聞き取ったり発音したりする事は、学 習 者の皆さんに

とって容易な事ではないようです。

私 はかれこれ 15年ほど日本語教師をしていますが、初期のひらがな 学 習 は、ただ文字の 学 習 のみな

らず、発話、発音、 聴 解 力、文法など、いろいろな分野の日本語能 力に関わる大切な基礎学 習であ

ると感じています。

しかし、そうは言っても、自主夜中の教 室で2時間ずっとひらがなの学 習ばかりでは、学習者さん

も疲れてしまいますから、導入期の学習者さんには、ひらがなの学 習をすすめながら、合間に挨拶の

言葉、時間に関わる言葉、カレンダーの言葉、お金や数の言い方、簡単な助数詞といったサバイバル日本語

の練 習を挟んで、退屈や疲れを感じさせないように工夫しています。